Video Gen Now

Runway Solaris —— 動画モデルはいかにして OS になったか

Runway は 2026年8月31日に Solaris を発表し、インターフェース世界モデルと名付けたファミリーの第一弾だと説明しました。コードからインターフェースを描画するのではなく、モデル自身がインターフェースを 1 フレームずつ描き、こちらのクリックやキー入力が次のフレームの中身を決めます。今すぐ開いて試すことはできません。提供状況の結論は下のボックスにまとめてあり、このページの残りは「これがどこから来たのか」の話です。

Runway Solaris の提供状況アーリーアクセスのみ

Runway は一般公開の時期も価格も発表していません。利用は申請フォーム経由に限られます。

最終確認:2026年9月2日

Solaris が実際にやっていること

Runway Solaris が生成するのは画面そのものであって、画面を出力するコードではありません。この一文は言葉遊びのように聞こえますが、動作中のセッションの下に何があるかを見ると意味が変わります。HTML ドキュメントも、スタイルシートも、DOM ツリーも、イベントハンドラもありません。クリックしているボタンは、モデルが描いたピクセルの一領域です。モデルは「ボタンに見える領域がクリックされたときに何が起きるか」を学習しているので、次に生成されるフレームには押された状態が現れ、その後のフレームにはそのボタンが本来やるはずのことが現れます。

全体は 720p で動き、入力にリアルタイムで応答します。動画ではなくソフトウェアのように感じられるのは、この部分です。クリック、ドラッグ、タイピングのすべてが次に来るものを条件づけます。データベースから何かを取り出してテンプレートに流し込んでいるわけではなく、あらゆるフレームのあらゆるピクセルがモデルの出力です。

ここが、これから一週間さんざん比較されるであろうツール群との境界線でもあります。v0、Lovable、Bolt はプレビューペインの付いたコードジェネレーターです。インターフェースを説明すると言語モデルが React と CSS を書き、ブラウザがそのコードを実行し、最後に手元に残るのはリポジトリです。それらのツールが作るインターフェースは、書いたモデルより長生きします。読めるし、フォークできるし、デプロイできるし、モデルは二度と動かなくてかまいません。Solaris がフレーム間に保持するのはモデルだけです。

ここには、しばらく座って考える価値のある帰結があります。発表直後の論評のほとんどが飛ばした部分だからです。従来のアプリケーションでは、状態は指させるものでした。テーブルの 1 行、メモリ上の値、入力した文字列を保持しているかいないかのどちらかであるフォームのフィールド。生成されたインターフェースでは、状態とは「すでに描いたフレームについてモデルがまだ覚えていること」です。この 2 つは、食い違うその瞬間まではまったく同じように振る舞います。しかも食い違いはエラーメッセージとしては現れません。現れるのは、まったく正常に見えて、静かに間違っている画面です。

コードジェネレーター(v0、Lovable、Bolt)

プロンプトLLM がコードを書くブラウザが描画画面

Solaris

ユーザーの入力推論 + 世界モデル次のフレーム↺ 毎フレーム繰り返す

前者のパイプラインはリポジトリを残します。後者は何も残しません。モデルを止めればアプリケーションは存在しません。そのアプリケーションは、はじめからファイルではなかったからです。

なぜ動画モデルから生まれたのか

一貫したインターフェースを生成することが、一貫したショットを生成することと同じ問題だったからです。Runway Solaris が土台にしているのは Runway の動画モデル Gen-4.5 で、その学習予算のすべては 1 つの制約に注ぎ込まれています。60 フレーム目にある物体は、1 フレーム目にあった物体のままでなければならない。マグカップはパンの途中で別のマグカップになりません。左に落ちていた影は左に落ち続けます。これは Runway が汎用世界モデル GWM-1 で始めた流れの延長でもありますが、発表では Solaris の内部部品ではなく、Solaris が辿っている道筋として説明されています。

インターフェースが必要とするのは、まさにその規律であり、それ以外はほとんど要りません。開いているパネルは開いたままでなければならない。フィールドに入力した数字は、サイドバーを畳んだあともそこになければならない。時間的な一貫性は動画生成の難所であると同時に、画面を「毎秒リセットされる幻覚」ではなく画面らしく感じさせているものの大半でもあります。

変わるのは舵の取り方です。動画モデルは、直前までのフレームとプロンプトから次のフレームを予測します。系列を前へ進めているのはプロンプトだけです。Solaris はその信号をユーザーの入力に差し替えます。テーブルの行をクリックすれば、次のフレームは展開された行になります。スライダーをドラッグすれば、続くフレームに値の移動が現れます。機構は同じで、ハンドルだけが違う —— 系列はもはや事前に書かれるものではなく、マウスを握っている人間と 1 フレームずつ交渉されるものになります。

アーキテクチャ上の 2 つ目の判断は、推論と描画の分離です。言語モデルは「何が起きるべきか」を決めるのは得意で、それを描くのは不得意です。世界モデルは正しく見えるフレームを作るのが得意で、そのフレームに何が含まれるべきかについては特に意見を持ちません。Runway はこの 2 つを分けています。推論は言語モデルの側に、描画は世界モデルの側に。この分離があるからこそ、このシステムはそもそも筋道を立てて考えられるものになっています —— そして居心地の悪いことに、現状の失敗の多くが住んでいるのも、まさにこの継ぎ目です。

Runway が挙げている用途

Runway が挙げているのは 3 つ。生成型のストアフロント、対話的なチュートリアル、そしてエージェントの訓練環境です。この 3 つにはある共通の性質があり、個々の例を並べるよりも、その性質のほうがこの選択をうまく説明します。

生成型のストアフロントとは、見ている人に合わせて自分を組み立てる店です。埋めるべきテンプレートも、あらかじめ並べておく商品グリッドもありません。対話的なチュートリアルとは、教えている当のインターフェースをその場で作り出せる教材で、実際の製品なら 1 スプリントかかるような状態まで含められます。訓練環境とは、1 万通りのアプリケーションを誰も書かずに、エージェントに 1 万通りのアプリケーションをクリックさせられる場所です。

共通しているのは、いずれも「見えている表面」のほうが「その裏に残る状態」より重要なケースだ、という点です。ストアフロントが明日も存在している必要は誰にもありませんし、チュートリアルをコードエディタで開きたい人もいません。これは実在するカテゴリーです —— ただ「これでフロントエンド開発は不要になる」よりはずっと狭い。発表から 6 時間ほどで各所の報道が落ち着いた先が、その「不要になる」のほうでした。

現時点で足りていないところ

Runway は限界について異例なほど率直で、挙げている 4 つは、このアーキテクチャから予想できる 4 つそのものです。読める文字、インターフェースの言うことを信じてよいか、長いセッションでの一貫性、そしてスクリーンリーダーなどの支援技術との連携です。

ユーザーが最初に気づくのは文字の描画でしょう。生成された字形は揺れます。インターフェースはほとんどが言葉でできており、フレームごとに微妙に形を変えるラベルは、動画の中よりも設定画面の中でずっと大きな問題になります。長時間セッションでの一貫性は、同じ失敗が時間方向に伸びたものです。最初のフレームから離れるほど、モデルが静かに模様替えをする余地は増えます。信頼性はアーキテクチャの 2 つの半身のあいだの継ぎ目です。世界モデルはもっともらしいセルにもっともらしい数字を描きますが、もっともらしいことは正しいことではありません。説得力のある誤答は、答えがないことよりも高くつく —— というのが Runway 自身の整理です。4 つのうち最も難しいのはおそらくアクセシビリティです。スクリーンリーダーが読むのは意味の木構造ですが、フレームの列にはそもそも露出できる木がありません。

720p という上限も同じ一覧に入るべきものです。Runway はこれを限界ではなく仕様として書いていますが。動画がこれに耐えられるのは、動画の大半が大きく動く形だからです。インターフェースはその逆で、密度が高く、静止していて、9 ピクセルのラベルや髪の毛ほどの罫線に満ちています。それらはピクセルにぴたりと乗ったときにだけ正しく読めます。ノート PC の画面に 720p で映るダッシュボードは、縮小されたダッシュボードではなく、ぼやけたダッシュボードです。そして最初にぼやけるのは、情報を担っている要素のほうです。

さらに、ソースコードがそもそも存在しないことから来る帰結があります。バージョン管理に入れるものがなく、プルリクエストでレビューするものがなく、リンターや静的解析をかける対象がなく、火曜と水曜で何が変わったかを差分で見る手段もありません。現状の Runway Solaris の限界は、出力品質だけの話ではありません。「上演」ではなく「ファイル」であるアプリケーションに対して、チームが普段やっていることのすべてに関わる話でもあります。

今すぐ Solaris を使えるのか

使えません。Runway Solaris は一般公開されていません。利用はアーリーアクセスの申請フォームに限られ、Runway は選定したパートナーとともに提供範囲の拡大に取り組んでいるとしています。

一般公開の時期は発表されておらず、いかなる価格も公表されておらず、公開 API もありません。エンドポイントも、パラメータも、SDK もありません。いま Solaris について出回っている価格・公開日・コードサンプルの類は、それを載せた人が考え出したものです。アクセス権を売る、順番待ちを繰り上げる、API キーを渡すと持ちかけてくる相手は、まだ存在しないものを売っています。当サイトにも、アクセスを提供・仲介・前倒しする力はありません。

最終確認:2026年9月2日。公開以降の変更点は、このページ末尾の変更履歴をご覧ください。

今日から使えるもの

カテゴリーが違うので、はっきり書いておきます。以下のどれもインターフェースを生成しません。Runway Solaris はインターフェースのモデルで、当サイトのツールは動画ジェネレーターです。クリックに反応して自分を描く画面を求めて来たのなら、ここにある何も代わりにはならず、ほかの全員と同じように待つことになります。

共通しているのは、その下の層です。Solaris が存在するのは、動画モデルの時間的一貫性が、動画以外に向けても通用するところまで良くなったからで、その層のほうは申請フォームの向こうにはありません。フレームごとの生成と、物が何であるかを追い続けるモデル —— 面白かったのがそこなら、今日から動かせます。

よくある質問

Solaris は HTML や CSS を生成しますか?
しません。Solaris のセッションの下にはマークアップもスタイルシートも DOM もありません。モデルは描画済みのフレームを直接生成するので、書き出したり、中を覗いたり、差分を取ったり、よそでホストしたりできるソースファイルは存在しません。
Solaris は Gen-4.5 と同じものですか?
違います。Gen-4.5 は Runway Solaris が土台にしている動画モデルで、単体でも使える製品です。Gen-4.5 はプロンプトから動画クリップを生成し、Solaris は入力に反応するインターフェースを生成します。
Genie 2 とは何が違いますか?
どちらもコードから描画するのではなく、対話可能な世界をフレームごとに生成しますが、狙っている先が違います。Genie 2 が生成するのは、中を移動できるゲーム的な環境です。Solaris が生成するのは、クリックし、ドラッグし、文字を打ち込むアプリケーションのインターフェースです。
Solaris をセルフホストしたり、ファインチューニングしたりできますか?
Runway はセルフホスト、ファインチューニング、モデルの重みについて何も公表していません。利用がアーリーアクセスの申請に限られ、公開 API もない現状では、どちらも不可能です。

変更履歴

  • 2026-09-02ページを公開。Runway の発表と照合済み。執筆時点の Runway Solaris の状況:アーリーアクセスのみ、一般公開時期の発表なし、価格の公表なし、公開 API なし。